『ゼラチンシルバーLOVE』(操上和美)

写真家・操上和美が初メガホンを取った作品。

最初は、音楽もほとんど使わないし、台詞も極少でストーリーも凝っていないので、贅肉のないすっきりと集中させてくれる映画だなとポジティブにとらえたのだけれど、後半になると、もう見せたいものがなんなのか想像がついてしまったので、集中力が続かなくなってしまった。どうやら、監督の写真家・CM撮影人生ではできなかった、長編映画という動く土俵を使いながら、音はがんばらず、シナリオをがんばるでもなく、結局「写真展」を目指したかのような内容は、とても長編映画である利点を生かしていない。むしろ短編にした方が良かったかも知れない。アートとして見ても、新しさはないので、残念。写真としてみると、気になる写真はいくつもあったが、映画としてみると食い足りない。

と、ここまで書いていて気がついたのだけれど、タイトルで「ゼラチンシルバーLOVE」な人向けの映画だったのだな。自分は「ゼラチンシルバーLIKE」ぐらいなので、そこで食い足りなさがあったようだ。映画を期待した自分の選択ミスもあっただろう。
ただ、そもそも製作もCM製作会社のようだし、もともとがそういう人をターゲットにしたものだったのだろう。

良くも悪くも、映画LOVEではなく銀塩写真LOVEの映画。