『夜のピクニック』(長澤雅彦)

高校生活の思い出作りになるイベントというと、部活、体育会系だったら大会、体育祭。文科系なら文化祭。あとは全校行事。非日常イベントは、何かが起こる。非日常の場を提供するだけで、そこに参加する人たちは、否応なくそれぞれが何か普通じゃないことをやりはじめるもんでした。この映画では80キロをただ歩く「歩行祭」。


イベントとしては歩き通すだけなんだけど、だんだんみんな無駄なことやる元気がなくなって、普通じゃなくなっていって、本音がむき出しになって、素直じゃないところが削られて。ぎりぎりな状態にんると、自分を飾るとか隠すとかやってる場合じゃなくなって、素のコミュニケーションがしかなくなる。だから、それまで、ひとことも言葉が交わせなかったクラスメートの二人が、最後には話しができてしまうのも、非日常が、日常の変なわだかまりを無駄な物としてくれちゃったからなのかと。昔を思い出してちょっと納得。そういうシチュエーションを最初から最後までつぶさに変化を追っていくというのは、見ている方としては、観察者的だけど、興味深かった。