『孤高のメス』(成島出)

堤真一は相変わらず味があってよかったけど、それにも増して、夏川結衣がすごいよい。臓器移植という重いテーマもあったが、そこは意外にあっさりと描いて、目の前の命を救う技術者魂のようなものを、彼女の視線から追っていく演出が、感情移入もしやすくてよかった。
医師にメスをスムーズに渡せるように、手順をトレーニングをする姿、本番前に道具の手入れをしたり、素振りをして技術を確認する、まさにプロの技術者や伝統職人の魂を見るようで、すばらしい。自分の手術はこんな医師、看護婦にして欲しい。それに、こういう魂が、母から子に財産として受け継がれるというのはすばらしい。そうあって欲しい。