『コーヒー&シガレッツ』(ジム・ジャームッシュ)

★★★

去年観た映画を、今頃、日記に書いているのもどうかと思うのだが、何で?というと、、、明日11月22日は、トム・ウェイツのすごい久しぶりの新譜が発売されるのだ。『オーファンズ』(EICP-736〜8 税込6,300円:オリジナル・タイトル『Orphans:Brawlers, Bawlers & Bastards』)。で、そう考えていたら、彼も出演しているこの映画を思い出して、ついつい書いておきたくなったというわけだ。

コーヒー&シガレッツ』。

これはジム・ジャームッシュお得意の、11編からなる短編オムニバス映画だ。話の舞台は主に?カフェ(カフェっぽくないところもあったかもしれないが)。出演者たちが会話するテーブルにはコーヒーと煙草が置かれている。モノクロームの映像は対話する出演者の心模様によって明るかったり暗かったり重くなったり暗くなったり。モノクロームなのに凄い多彩だ、出演者は多彩と言うよりみんな濃い。
11編の物語ってほどのストーリーはなく、ダラダラと気まずい雰囲気が流れたりする中コーヒーを前に流れてゆく時間。気まずさをコーヒーやタバコが中和しているみたいだ。そのけだるさが何とも心地良いのが変。

そんな彼らの心情を上げたり落としたりするのに、たぶんさりげなく拍車をかけていたのが音楽だ。元々ジム・ジャームッシュという監督は、音楽の使い方が独特だが、かなり一貫しているというか頑固一徹だ、彼は。彼の選択眼にかなった曲がかかり、私はそれにかなり同期してしまっているのでそれに違和感がまるでない。ブルース、R&B、オルタナティブ、レゲエなど、様々なジャンルの音楽が使われているけれど、まあ、ファンの宿命なのでしょう。彼の意図を推し量ることはあっても、彼のセンスをあまり疑おうとしない。まーそれでよいのです。

とりわけ、私の場合、トム・ウェイツだ。何せ、ジム・ジャームッシュより年季が入っている。かれこれ20年来である。それがジム・ジャームッシュの映画で曲が使われ、何度も俳優として出演し、ますます相乗効果?でお気に入りになっていった人たち。他の出演者たちも、ぞろぞろと芋蔓式にファンになってしまっていいる。だから、、、もう今日ですね。CD発売なのです、なんと3枚組。ワクワクです。

話を映画に戻しますが、トム・ウエイツとイギー・ポップの一編は、お互い探りあうようにコーヒー飲んで、タバコを吸って。タバコを吸う口実をもっともらしく語るのがおかしかったです。掛け合い、間がカフェっぽいというか雰囲気見せて貰っているだけで、クスッとしてリラックスできる。それにしてもトム・ウエイツ、世界で一番タバコ似合うんじゃないですかね。しかし、それでも私はタバコは吸わない派ですが、吸っている絵は好きなのです。あとは「いとこ同士」、ビル・マーレイ出演の「幻覚」も楽しかった。

ということで、私的にはオススメ。当然DVDは買ってしまうくらい好きです。ファンだから甘くつけているんじゃない?、、、と思われるかも知れませんが、30歳40歳代で、渋好みの人だったら、、、たぶん、いい感じで観られるんじゃないかなと思いますよ。観終わったあとはコーヒー飲みすぎた感覚になったのを覚えてますが、それでもコーヒー飲みたくなりました。

あー今週末は、DVD見直しそう。