『恋愛回遊魚』(呉米森)

妻がTSUTAYAで、中国語の勉強の教材に借りてきたので、何の気なしに一緒に見たんだけど思わぬ収穫(妻えらいです)

ストーリーは、台湾大学医学部卒の30歳の無職男と美少女の、都会(台北)を舞台にした、60分の恋愛もの。

その何が良かったかというと、まず、とにかく説明くさくない。見ている人にストーリーを追わせない。粋な セリフや小さなエピソードたちがとてもかわいいんですが、それを積み重ねてパズルがだんだんはまってラストに収束していく。

映像は、さすがに王家衛ウォン・カーウァイ)の影響は感じられるけれど、随所に親日本カルチャーっぽい描写があるからかもしれないが、 彼よりもさらっとしていて、湿気があんまりない。
泣かせようとか感動させようとかがないのがかっこよい。最近だと、からからの乾いた薄いだけの絵になりがちな映画が多いけれど、16ミリフィルムを使ったざらつき感のせいもあったと思いますが、技術を意図的にちゃんと選択して使ったのでしょう。すごいリアル。送り手の商売的な意図がみえみえの映画とは対局だなーと感じました。だから良いと感じたんでしょう。


実は映画的にとても王道のちゃんとしたつくり。60分の中のシナリオと完成度はなかなかのものだと思いました。

キラキラしたハリウッド映画とかが好きな人にはオススメできませんが、屈折したインディーズ映画が好きな人だったら、見て損はない。


  • あらすじ - goo 映画
  • 原題:起毛球了
  • 2000年/台湾/60分
  • 監督・脚本:呉米森 ウー・ミーセン
  • 出演:張家慧 チャン・ジャーホイ、蔡振良 ツァイ・ツェンリャン ほか