『北京ヴァイオリン』(陳凱歌)

中国の田舎町でコックとして働く父が、息子を立派なバイオリニストにすることを夢見て北京に引っ越し、息子を支え続ける物語です。その父が滑稽なほど正直者で、息子のためならどんな苦労もいとわない人で、おとぎ話にしか出てこないような"いい人"。息子もそんな父に育てられたのだから当然いい子。彼らの周辺は開発が進んで人の心も荒んでいる北京なのは、彼ら親子の純朴さをさらに際だたせるためだったんだろうなーと思いました。。


汚れた私なんかが見ていると、洗われるというか、自分を反省して、だんだん浄化されるような気になっていくんですね。人間関係が希薄な今の世の中で、こんなに濃密な親子関係は存在しがたいと思いつつも、親子に係る人々がお金以上の価値観を気づかされ、少しずつ変わっていくのが嬉しい。最後には泣かされるんだろうなー気づきつつ、もう素直に乗せられてみました。感動ものでしたー。こういうの、最近の日本映画には全然ないね。

なんか、しみじみ父親を思い出しました。
スタイルは全然違うけど、根っこは同じだったんだろうなー、、、。

ひとつ残念なのは、映画の題名が、内容と全然違うじゃん!というとこ。原題名・英語名は正しいんだけど、日本の題名は「北京」「バイオリン」じゃ、この映画の良さを表してない。ネットの検索対策?

とはいえ、そんなことは今となってはちっちゃなことで
ここ数年で、素直に感動できた映画としては、一番かも。

  • 原題:和你在一起 英題:Together
  • 2002年/中国/117分
  • 監督・脚本:チェン・カイコー 陳凱歌
  • 脚本:シュエ・シャオルー
  • 出演:タン・ユン、リウ・ペイチー、チェン・ホン