『それでもボクはやってない』(周防正行)

ショック。無罪を出すということは、検察にも警察にたてつくこと、つまり国にたてつくことになる。昇進して偉くなろうと思っている裁判官は、効率よく裁判の数を稼ぎ、正しい裁判のためにいたづらに時間を費やすようなことをやっている人などいないのだろうか。裁判を取り巻く人々もほとんどが公務員≒サラリーマンだということを考えると、信じたくはないが、そうなっているのか。


どこかで、最後の砦として裁判所があると信じてきた。「ほんとうにやっていなかったら、きっと分かってくれるはずだ」と思っていた。はっきり言わなくても分かってくれること助けてくれることを期待していた。しかし、実際問題こうなっているのが全面的ではないにしろ、人によるのだとしても、かなり本当だとすると、私の感覚は大甘なのだと思わざるを得ない。まだ、そういう場面に遭遇しないで生きてこられたのは、とてつもなく幸運なだけだったのかと、突きつけられた心境。


こういう映画ができることで、真っ当な裁判が増えること、真っ当でない裁判=無罪が有罪にされてしまうようなことが行われないような、抑止力になってくれることを願うばかり。