『緑茶』(張元)

大学院生ウー・ファンと、バーでピアノを弾く女性ランラン。そっくりだが性格は正反対。その両方を好きになる男ミンリャンの話。昼の北京のカフェで緑茶を飲みながらのシーンが多い。緑茶は、日本のと違ってグラスに注がれた湯にお茶の葉を注ぎ入れるので湯の中でゆらゆらする茶葉を見ているだけで飽きない。そこで語られるウー・ファンの話が毒気があって面白い。全編の表現は、スタイリッシュというか、洗練されている。テーマも、決して押しつけ感がない。その辺がモダンだ。よい意味で私のイメージしてきた中国映画じゃない。


ここ最近、自然に見られる中国映画が増えてきた。この「緑茶」もそうだが、他では「世界」(賈樟柯 ジャ・ジャンクー監督)も。2人とも1960年から70年代生まれで、彼らを中国映画の監督第六世代というそうだ。


ちなみに、張藝謀(チャン・イーモウ)に代表される第五世代の監督たちは、国の開放政策のなかで、国家予算で映画を作ることができた。 一方、第六世代は、独力で資金を調達しなければならなくなり、自然とインディペンデント映画的になっていった。どこの国にもいるインディペンデント系の人とどこか同じにおいがするなと思ったが、なるほど。

当分、彼らの世代に期待していこう。夏には賈樟柯監督の『長江哀歌(原題/英題:三峡好人/STILL LIFE)』も見られるし。