『ダージリン急行』/『ホテル・シュヴァリエ』(ウェス・アンダーソン)

 『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』を観てウェス・アンダーソン監督気に入っちゃったので、また観た。父の死をきっかけに仲違いしたままになっていた3兄弟が、一緒にインドの秘境を列車で旅しながら絆が修復されていく物語。またテーマは家族だ。

 ダージリン急行と聞いて、実在の「ダージリン鉄道」を思い浮かべてしまったが、実際には架空の鉄道。この辺、アメリカが舞台だったら混乱させるような名前は付けないんだろうが、舞台を知らない人がやりがちな安易なネーミングだ。ということで、、インドの特定の場所ではない架空の場所だと割り切って頭を切り替えて見る。

 ということで、自分がゆるく寛容に見はじめたら、実際に兄弟3人の行動もいいかげんでおおらかで、だから痛い目には会っているし、それで兄弟の関係も悪くなっていたというのが、物語のスタートラインだった。とてもシリアスな映画にもできるところを、そうせずに全体がちょうどいい感じにゆるい。またm舞台を長距離列車にしたのが大当たり。列車の中でもやはりいい加減な行動を3人それぞれにやっちゃうわけだが、同じ列車の中で合宿をしているみたいだから、けんかいざこざを起こしても、一服しにいって、列車からのインドの風景を見て、過去を振り返って、、、また同じ部屋で顔を会わせて。さっきはゴメンって言って。繰り返すうちに、みんながみんな自分を反省して、相手のことを思いやって。旅が終わる頃には、みんな素直にポジティブに生きていくエネルギーが貯まってくる。自分も、悪いところから希望が見えてくるところまでを、スクリーンの前から一緒に見守ってきたことになるので(部活の合宿を見守る先生みたい)、自分も旅に参加して元気をもらってしまった感じだ。

あと、面白かったのは、スーツケース、バッグの存在感。めちゃくちゃあって、これは確信犯だなーと思って調べたら、ルイ・ヴィトンマーク・ジェイコブスによるものだった。別にルイ・ヴィトンのファンじゃないけれど、色も使われ方も、この映画のすごいアクセントになっていて、狙い当てられた。舞台の小道具もほとんど現地での手作りらしく、その絵や色もとても魅力的で好き。

そういえば、兄弟っていいもんだなーと思わせるところと、ゆるさ加減で同じなのは『間宮兄弟』か。