『四川のうた(原題:二十四城記)』(賈樟柯)

中国四川省省都成都にあった、巨大な国営工場「420工場」が、40年余りの歴史に幕を閉じる。閉鎖されていく工場の産業遺跡のような異様な威容と、解雇されていく労働者たちが、きりっと正面を見て歴史を語っていく。皺の刻まれた顔つきが、リチャード・アベドンポートレート写真を思わせる。

フィクションが混ざっている賈樟柯得意のドキュメンタリー手法。ずるいと思いつつも、伝えようとしていたことが、伝わりやすくなっているのは確かだろう。素人は素人の、プロにはプロの良さがあると思うが、さすがにプロだからできた演技も入っていて、ぜんぶ素人にこだわらずに適材適所に起用して、結果はよかったろうと思う。