『Hole|洞』(蔡明亮)

未知のウィルスが蔓延する台北。きれいではない水、雨でいつも映画がじめじめ濡れている。だからなのか、気持ちが晴れることなく延々と続く。不安が大きなサプライズで霧散して気持ち良くなるのならそれも良いが、もやもやじめじめした気持ちが強く残る。しつこいくらいにじめじめな世界に嫌気がさした頃に、天井から差し伸べられた手。乾きに乾いた喉においしい水(逆か)みたいで、狙い通りにやられたということかも。


本当は主題は、「上の階の男と下の階の女とその間に出来た穴」。この映画の背景には、平和ボケの日本人には想像できない、台湾の現実にある不安があるのはのだろうかと思うが、今の私の理解力、知識だと全然辿りつけない、深く見ることができない。