『バベル | BABEL』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)

ここまで涙が流れ、人が泣き、叫ぶ映画を初めて見たかもしれない。他人が涙を流すまでのプロセス、善人の涙の訳ををたくさん。それも伝えたいのに伝わらないもどかしさの結果表現としての涙。なんだか最近、喜怒哀楽が減って、めったなことでは涙を流していなかった自分が、涙を流せそうな気になった。これが最大の発見。


そういう意味で、自分にとって記憶に残る映画になったし、とても見る意味があった映画になった。
ブログのレビューは賛否両論のようだったが、私にはよかった。


また、シナリオ、監督の演出について。世界3カ所で展開する物語をだんだんピースがはまるように観客に理解させるというのは、チャレンジングなことだったと思う。それだけでもすでに評価に値すると思ったのだが、実際、私はぐいぐい引き込まれ、そこそこ理解力は要求されたが、ちょうどよい歯ごたえで理解できた。監督と脚本の力だと思った。

アカデミー賞監督賞もなるほど納得。