『トニー滝谷』(市川準)

もともとお気に入りの監督の一人で(会社物語、つぐみ、東京マリーゴールド、味の素のCMも)、あちこち気に入るシーン・台詞がいくつもあって。でも、他の映画とは違って実験的な映画だったのだが、自分にとっては素直に受け入れられる変な感じ。原作は読んでいないけれど、昔けっこう読んだ村上春樹小説に感じた温度の低い世界をとても感じるし。小説だけじゃなく絵的なところで共感している自分がいる。それがどこから来るのか、見終えてもわからなくて気持ち悪かった。


でも、ちょっと思い出して調べて、わかった。
エドワード・ホッパー!、、、だったのか。


オフィシャルサイトを読んでたら、市川監督のコメントに「エドワード・ホッパーの絵画のような空白の多い画面になぜか惹かれ、小劇場のようなシンプルな舞台を高台の空き地に建てて、その舞台の微妙なアンングル替えと、簡単な飾り替えだけで、ほとんど全てのシーンを撮影したことも、、、」。
確かに、村上春樹は、あの時代のアメリ東海岸あたりの作家をとても好きでしたね。案外、彼も思い浮かべながら書いていたかも。


映画ももちろんだけど、最近すっかり忘れていたお気に入りの人をもうひとり思い出させてくれて二度感謝。さっそく画集を見直した。ついでに、スコット・フィッツジェラルドも読み返したいかも。