2007-01-01から1年間の記事一覧

『パリ、テキサス』(ヴィム・ヴェンダース)

学生の時分に観た映画を20年も経ってから見ると感じることが全然違う。それなりに社会経験もして、知っていることが多くなってきたからか、ことごとく違っている。未熟だったからとか、成長したということだろう。成長していることの確認としては嬉しいが…

『迷子』(李康生)

2003年/台湾/88分 監督・脚本:李康生 リー・カンション、製作:蔡明亮 ツァイ・ミンリャン キャスト:陸奔静 ルー・イーチン、ミャオ・ティエン、チャン・チェア あらすじ - goo 映画

『紅夢』(張藝謀)

怖い。作り物のホラー映画なんかよりずっと怖い。人の恨みとか妬み、憎悪って。赤と蒼と白を思いっきり意図的に構成した映像が隙なく決まっていて美しいが、それもかえって冷たくて怖い。 あらすじ - goo 映画 大紅燈篭高高掛/1991年/香港 中国/ 監督:チ…

『東京物語』(小津安二郎)

脱帽です。この完成度へのこだわり、美意識。人の気持ちの細かい動きまでも表現する細やかさ。凄い。この厚み、深みは、他で見られない。 あらすじ - goo 映画 1953年/日本/135分 監督:小津安二郎 脚本:野田高梧 ノダ、小津安二郎 撮影:厚田雄春 録音:妹…

『シクロ』(トラン・アン・ユン)

アジアの映画を見ると、行きたくなるような作りをしている観光案内映画は数多いけれど、この映画は毒が強いので、私は行きたくなるが、行きたくない人も出てくるだろう。貧困、汗、暴力などの現代ホーチミンの裏の毒だ。 場面は10数年前のベトナムホーチミ…

『晩春』(小津安二郎)

あらすじ - goo 映画 1949年/日本/108分 監督:小津安二郎 原作:広津和郎「父と娘」 キャスト:笠智衆、原節子、杉村春子、ほか

『モンゴリアン・ピンポン』

あらすじ - goo 映画

『珈琲時光』(侯孝賢)

侯 孝賢(ホウ・シャオシエン)繋がりで見たのだが、ほんとに台湾の映画監督なのか??。まいった。小津安二郎生誕100年を記念して作られた日本映画なのに、最近の日本映画よりもはるかに日本映画していた。よい意味で。 特に、日常の美しいしぐさをきれ…

『芙蓉鎮』(謝晋)

1987年/中国 あらすじ - goo 映画 監督:謝晋 シェ・チン キャスト:劉暁慶 リュウ・シャオチン(胡玉音)、姜文 チアン・ウェン(秦書田)

『悲情城市』(侯孝賢)

舞台は台湾台北郊外。日本の敗戦に始まり、台北に国民党政権が誕生するまでの4年間、社会の変化に翻弄される一家を中心の物語。 清に支配され、日清戦争に負けて日本に割譲され支配され、ようやく解放されると思ったら、大陸からやってきた外省人に支配され…

『バベル | BABEL』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)

ここまで涙が流れ、人が泣き、叫ぶ映画を初めて見たかもしれない。他人が涙を流すまでのプロセス、善人の涙の訳ををたくさん。それも伝えたいのに伝わらないもどかしさの結果表現としての涙。なんだか最近、喜怒哀楽が減って、めったなことでは涙を流してい…

『ココシリ』(ルー・チュ—アン)

中国チベットのココシリ地区で実際に90年代にあった、チベットカモシカ密漁団と森林警備隊との戦いの事実をもとに描いた映画。ひとことで言うとショック。人はこうもあっさりと死んでしまうのか。少なくとも映画の中ではなかなか死なないものだと思っていた…

『宋家の三姉妹』(メイベル・チャン)

長女は大財閥の御曹司、次女は孫文、三女は蒋介石と結婚という、ちょっと普通じゃない事実を元にしている。あまり期待しないで見たのだが、知識的なおもしろさと、ドラマ的なおもしろさのバランスがとても良かった。2時間半ほどの長さで、テンポも演出も抑…

『ニライカナイからの手紙』(熊澤尚人)

沖縄、八重山諸島の竹富島と東京が舞台。 東京に暮らしていると当たり前の常識も、向こう側から見ると常識なんかじゃないんだな。そんな当たり前のことを、自然に、ゆっくりと教えてくれた。特に、いろいろと対比できるのでわかりやすかった。人間関係の希薄…

『Hole|洞』(蔡明亮)

未知のウィルスが蔓延する台北。きれいではない水、雨でいつも映画がじめじめ濡れている。だからなのか、気持ちが晴れることなく延々と続く。不安が大きなサプライズで霧散して気持ち良くなるのならそれも良いが、もやもやじめじめした気持ちが強く残る。し…

『ポリス インサイド・アウト』(スチュアート・コープランド)

★ 20年以上前のポリスがドサ回りからのし上がっていく様を、3人のひとりであるスチュワート・コープランドが裏側から撮っていた8ミリフィルムを編集したドキュメンタリー。 解散してもう20年以上。その間、再結成しないかなとか思ったときもあったけれ…

『アルゼンチンババア』(長尾直樹)

さすが、役所広司、鈴木京香。演技力見せてくれます。でもあとはダメ。全然引き込まれなかった。ちなみに原作は短編なのだそうだ。あー、なんだか納得。 個人的には、こういう方がよかったかなーとふと思った。 靴に恋する人魚 2007年/日本/112分 監督:長…

『チョムスキーとメディア マニュファクチャリング・コンセント』

この映画、というか、このチョムスキーという人。噛み応えありすぎです。言語学の権威だとは事前に聞いていたけれど、凄い手強いです。 この映画でチョムスキーは、メディアによる自己規制によってごく自然に情報の歪曲が行われている社会システムの存在、国…

『さくらん』(蜷川実花)

映画のパーツパーツは、見どころが多い。特にグラフィック。さすが各業界の注目の才能がやってるだけある。しかし残念でしょうがないのは、とにかくバラバラ、散漫。映画としての完成度は最初から諦めて、とにかく個性を見せつけるんだと割り切っていたかも…

『それでもボクはやってない』(周防正行)

ショック。無罪を出すということは、検察にも警察にたてつくこと、つまり国にたてつくことになる。昇進して偉くなろうと思っている裁判官は、効率よく裁判の数を稼ぎ、正しい裁判のためにいたづらに時間を費やすようなことをやっている人などいないのだろう…

『不都合な真実』(デイビス・グッゲンハイム)

この映画、見るべき。見て自分を反省しない人、襟を正そうと思わない人は、ほとんどいないはず。 出てくる地球温暖化に関係する事実のほとんどは、前から知っていた。 でもそれに対するとらえ方は、 北極の氷は40年間で40%縮小した。(ふーんそうかー) 南…

『世界』(賈樟柯)

北京のテーマパークが舞台。地方出身者が夢を持って集まってくるが、現実を目の当たりにして、ひとつひとつ諦めていく人々が描かれる。きっと世界中のどこの都会でも同じなのだろう。現実に近い世界をこれでもかこれでもかと突きつけ続ける。現実から逃避で…

『天空の草原のナンサ』

モンゴルの遊牧民の少女が、一匹の犬と出会うことから始まる物語。モンゴルの人々の生活をしっかり映像で見たのは初めてなのに、前から知っていたようなモンゴルの人々がスクリーンの中にいた。身近ではなかなか見ることができないような笑顔が見られた。文…

『サトラレ』(本広克行)

もし自分の考えていることがまわりに筒抜けになっているとしたら。この映画の設定は荒唐無稽だけれど、そのへんのことは忘れて、どんどん引き込まれた2時間。技術面は突っつく人いっぱいいると思いますけど、現実世界はもっとどろどろですが、そういうこと…

『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド)

アメリカ編は、知識としてあたらしい収穫はあったけれど、一本の映画としてみると、金額分の価値はなかったかなと思った。けれど、日本編も見て、アメリカ編は予習だったのだと捉え直すと、意味があったなと考え直した。アメリカ側の物語と日本側の物語の2…

『夏至』(トラン・アン・ユン)

第1作「青いパパイヤの香り」がすごい気に入ったので期待して見たのだが、超えられてなかった。残念。 映像をファッショナブルにしたかったんだなというのはわかる。「人は2人を同時に愛せるか」というテーマだったようだが、結局いろんなケーススタディを…

『藍色夏恋』(易智言)

この手の高校生ものでは、今世紀に入って一番。保存版でDVDも購入。 陳柏霖も桂綸[金美]も輝いている。はやくこれを上回る作品で再見したいものだ。 あらすじ - goo 映画 原題 : 藍色大門 英題:Blue Gate Crossing 2002年/台湾・フランス/84分 監督:Yee …

『青いパパイヤの香り』(トラン・アン・ユン)

1951年、ベトナム戦争前の平和だったころのベトナム、サイゴンが舞台。下働きの使用人としてまだ10歳の女の子ムイが田舎からやってくる。一見平和そうに見える家庭の日常の生活シーンを、淡々と丁寧に、言葉少なに描いていく。極めて単純明快なスカッとした…